FAQ - 床吹出口

建物

どのような建物に床吹出空調は適していますか?
庁舎・図書館・オフィス・ホール・体育館観客席など、幅広い種類の建物に適しています。共用・通路部においてアンビエント域、座席近くにおいてタスク域をそれぞれ使い分けることができ、応用できる建物が数多くあります。
空調機から吹出口まで気流がどんな経路を通るのが一般的でしょうか?
OA用二重床下内全体を床下チャンバーとする経路が一般的ですが、スラブを貫通させ空調機から吹出口までダクトで直接接続する経路になることもあります。

空調方式

天井吹出方式とどのような点が異なるのでしょうか?
天井内給気ダクトが不要なので天井裏高さを低くすることができます。また、室内発熱の上昇気流を利用して排出するので換気効率が向上します。
なお、居住者に近い場所から気流が吹出しますので、天井吹出方式以上に風量・風向・吹出温度を調整し、ドラフト感が無いように配慮が必要です。
その他の空調方式と併用する場合、相性はどうでしょうか?
色々な空調方式と組み合わせることができます。
例えば、全面床吹出し方式で全体的な負荷を取り、パーソナル的に床吹出口を併用することができます。
また、天井・床両方に制気口を設置し冷房時は天井→床へ、暖房時は床→天井へ吹出方向を切り替える事例もあります。
最近では、輻射空調で顕熱を処理し、外気導入を床吹出口から行うなど、輻射空調と組み合わせた事例もあります。
床面から吹き出して粉塵は舞い上がらないでしょうか?
床吹出の粉塵濃度は、天井吹出より少ないか同等であると多くの専門家から報告があります。本サイトのテクニカルコラム第7回:床吹出方式の特徴(2)でも紹介しておりますので参照下さい。
しかし、竣工後長期間使用している、もしくは大学などで長期間にわたり空調がオフになっていると、床吹出口内に大きな粒子径の砂埃類(ビル管理法で既定する10μm以下の粉塵とは異なる)が溜まりますので適宜清掃が必要です。

設計時

床吹出口からの給気温度は天井吹出と同じように算出すればよいのでしょうか?
天井吹出とは異なります。混合旋回流吹出の床吹出口を利用される場合は、ドラフトを避ける為に19℃以上を推奨しております。しかし、吹出温度制御が難しいパッケージエアコンの採用や、エアハンドリングユニットでも風量を抑える為に低温吹出を採用する事例もあります。給気温度が19℃より下回る場合は、足元の冷えの原因となる可能性があります。できるだけ椅子など人が留まる場所から遠ざけて設置する、椅子近くへ設置せざるをえない場合には指向性のある床吹出口を選定するなど配慮が必要です。
床下全体をチャンバーとして理由する場合、その差圧で注意することはなんでしょうか?
弊社の旋回流吹出口は、床下静圧が15~17Paで約150CMHの風量が得られるようになっております。床下への吹込み風速が早い場合、静圧に偏りが出やすくなります。そのため、できる限り吹込み風速が遅く(3m/s以下が望ましい)なるように計画してください。静圧に偏りが想定される場合、床吹出口に付属するバスケットである程度の調整ができます。しかし偏りが大きいと想定される場合は、床下に風向板を設置するなど床下静圧の均一化を図ることが必要です。
床吹出口のレイアウトは等間隔に配置すればよいのでしょうか?
インテリアの共用部や通路など人の滞在時間が短い場所ではそのように配置しても問題ありません。しかし、椅子近くや作業スペース近くでは、ドラフトを避ける為に什器のレイアウトによって床吹出口のレイアウトも変える必要があります。例えば旋回流吹出口では椅子から70㎝程度離すことによりドラフトを避けることができます。もしくは指向性がある床吹出口や、居住者が個別に風量を調整できるシャッター付き床吹出口を選定することが必要です。
床仕上げ材の色に床吹出口の色を合わせることはできますか?
可能です。樹脂製のみになりますが、約180色からお選び頂けます。

施工時

床吹出口の収まりはどのようになるでしょうか?
床仕上げ材により収まりが異なります。タイルカーペットであれば簡単にフラットに収めることが可能です。
それ以外の仕上げ材の場合は、床吹出口のリング部を仕上げ材の上から被せる収まりになり、少し出っ張ります。
床材を加工することでタイルカーペット以外でもフラットに収める方法もありますが、手間がかかります。
各収まりにはメリット・デメリットがございますので、詳しくは弊社へお問い合わせください。
床下吹出空調を構築する際に、二重床の施工で注意点はあるでしょうか?
床下からの漏気対策を施す必要があります。床パネルとカーペットを1対1で貼る場合、床パネル間で隙間がありますので、特に注意が必要です。漏気が大きくなると室内の上下温度差が増え、混合が不十分な状態になります。
床吹出空調は空調機からの距離が近い方が風量が大きくなり、遠いと風量が小さくなるのでしょうか?
必ずしもそうとは限りません。床下チャンバー空間は動圧ではなく静圧の状態で保たれております。すると空調機から距離が近い方が風速が早く、静圧は低い状態になります。吹出口は静圧が高いと風量が大きくなるので、空調機から近い方が風量が小さいということがあります。その場合、距離が遠くてもどんどんと空気が流れ込んでくるので壁付近では静圧が高くなり、風量が大きくなります。場所による静圧差が大きいと床下への吹込み間口を広げ風速を抑えたり、風向板を設置し差を是正する必要があります。